ジャニーズ事務所の危機管理対応に郷原弁護士が批判するのはなぜ?

2023年の旧ジャニーズ事務所の会見について、郷原信郎弁護士が危機管理対応を批判しました。会見には社長、副社長のほかに木目田裕弁護士も登壇しています。郷原弁護士はどのような対応を批判したのでしょうか。それぞれの弁護士の活動内容とともに会見の概要、批判内容についてご紹介します。

 

ジャニーズ事務所の会見について

2023年9月、旧ジャニーズ事務所は「ジャニー喜多川氏の性加害問題」について記者会見を開きました。

1回目の会見では社名を維持する方針などを公表しましたが、一部スポンサー企業の契約打ち切りなどにつながりました。

10月に2回目の記者会見を開き、社名の変更と、被害者への賠償を終えたら廃業すること、これまでの業務を引き継ぐ新会社を立ち上げることなどを発表しました。

しかし、質問者の指名を巡って会見が荒れたことや、翌日の報道で特定の記者を指名しないようにする「NGリスト」の存在が明らかになったことで記者会見での対応そのものが批判されることになりました。

 

郷原弁護士による批判内容とは

記者会見の対応で批判を浴びた旧ジャニーズ事務所について、郷原弁護士は記事内で次のように語っています。

 

“最近、企業の不祥事対応で、大手法律事務所の弁護士チームが危機対応に関わることが多くなったが、今回の記者会見には、東山紀之社長、井ノ原快彦副社長とともに、木目田裕弁護士らが会見者として登壇し、記者の質問に答えるなど前面に出て対応した。その記者会見という危機対応の場で新たな不祥事が発生したことは、企業の危機対応への弁護士の関与の在り方が問われる事態だと言えよう。”

 

この内容から、記者会見に登壇した木目田弁護士を批判していることがわかります。

 

郷原弁護士自身、桐蔭横浜大学特任教授・コンプライアンス研究センター長として、コンプライアンスに関する活動を始めてから、様々な企業の不祥事で第三者委員会委員長を務め、自ら記者会見等にも臨んできました

当事者の企業に助言や指導を行った経験があるからこそ、旧ジャニーズ事務所の弁護士の対応に着目したのではないでしょうか。

 

木目田弁護士について

次に、会見に登壇した木目田弁護士の経歴を紹介します。

 

・経歴

1991年 東京大学法学部第一類 (LL.B.)
1993年 – 2002年 検事
1997年 – 1998年 東京地方検察庁特別捜査部
1998年 – 1999年 Notre Dame Law School (米国) 客員研究員
1999年 – 2001年 法務省刑事局付(総務課・刑事課担当)
2001年 – 2002年 金融庁総務企画局企画課 課長補佐
2002年 - 西村あさひ法律事務所入所

 

危機管理実務の創始者であり、報道等で注目を集めた主要な企業不祥事の多くで対応をアドバイスしたり、第三者委員会や調査委員会の委員等を務めたりしています。

 

受賞歴は、2023年危機管理・不正対応分野 第1位、2021年危機管理分野 第1位、2020年危機管理分野 第1位、2018年危機管理分野 第2位、2014年危機管理部門 第2位、2011年危機管理部門 第3位。2022年企業法務分野 第9位、2016年企業法務分野 第10位、2015年企業法務分野 第8位、2013年企業法務部門 第2位、2012年企業法務部門 第4位などがあります。

 

ニューズレターを公式ホームページから配信しており、誹謗中傷や危機管理に関する情報を誰にでもわかりやすい言葉で伝えています。

その中では、自身が実際に受けた誹謗中傷や個人攻撃についても書かれています。一部、抜粋して紹介します。

 

“私は弁護士として誹謗中傷への対応を企業や個人にアドバイスしてきました。また、私自身も特定の人物から執拗な誹謗中傷や個人攻撃を受けています。

社会では、そうした誹謗中傷や個人攻撃に晒された方が自死に追い込まれるなど、大変不幸な結果が現に起きています。それにもかかわらず、誹謗中傷は止みません。

 

中略

 

意見や見解は、正々堂々と述べればよいのであって、侮辱的表現や個人攻撃などをわざわざ使う必要もありません。侮辱的表現や個人攻撃は、そうした意見や見解と称するものの中身がないことの現れです。新聞雑誌やネット媒体が、リテラシーを発揮して誹謗中傷や個人攻撃にわたる表現を遮断していくことが、メディアとしての役割であると思います。また、そうなれば、誹謗中傷や個人攻撃は、刑罰などの国家権力の介入なくして、排除されていくことになります。”

 

真偽はわかりませんが、 郷原弁護士によるX(旧:Twitter)などでの批判を読んで、木目田弁護士に対して執拗な誹謗中傷や個人攻撃を行った人物がいることを指しているのではないかと思われます。

 

ニューズレターではほかにも、誹謗中傷を受けた際の基本的な対策や、危機管理、コンプライアンスについて詳しく書かれています。

気になる人はぜひチェックしてください。

 

郷原弁護士、木目田弁護士の活動内容

ここまで紹介してきた郷原弁護士、木目田弁護士の現在の活動内容についてです。

 

郷原弁護士の活動内容

2008年に郷原総合コンプライアンス法律事務所を開設してから、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任しています。

著書も多数あり、『歪んだ法に壊される日本』(KADOKAWA)『単純化という病』(朝日新書)『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)などがあります。

その他、ニュースサイトへの寄稿や企業への助言、指導なども行っています。

 

木目田弁護士の活動内容

弁護士業では、企業同士の資本業務提携、巨額損害賠償請求、入札談合被疑事件などの実績があります。

また、ニューズレターで誹謗中傷や個人攻撃に対する対策について情報を発信しています。所外セミナーも行っており、東京、名古屋、福岡、大阪と全国の主要都市を中心に活動を続けています。

論文も発表しており、企業法務の専門誌「ビジネス法務」などに掲載されています。

 

まとめ

今回は旧ジャニーズ事務所の2023年の会見について、郷原弁護士の批判内容を紹介しました。また、会見に登壇した木目田弁護士の経歴や活動内容についても一部抜粋して紹介しました。

木目田弁護士はニューズレターを通して誹謗中傷や個人攻撃への対策方法を伝えています。木目田弁護士自身も誹謗中傷を受けた経験があり、ニューズレターでは批判的な言説への警鐘を鳴らすものとなっています。

旧ジャニーズ事務所は非常に有名な事務所であるため、世間の目に触れやすく批判も多く集まりました。被害者への補償は現在も続いている問題であり、終わりがいつになるかはわかりません。中には、被害者の方への誹謗中傷もあるとのことです。

表面的な批判に終止することなく、被害者救済や業界の構造といった根本から見つめていくことが重要ではないでしょうか。

今後も旧ジャニーズ事務所の問題及び誹謗中傷について注目していきたいと思います。